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2007年 06月 15日
『黄昏の百合の骨』 恩田陸
理瀬が半年以上、この家で暮らさなければ 家を処分してはならない― 祖母の奇妙な遺言により、百合の匂いが 立ち込める洋館に住むことになった理瀬。 女ばかりが住むこの洋館は、不吉な噂もあり 周囲からは「魔女の家」と呼ばれていた。 2人の叔母と2人のイトコ。 それぞれの思惑は交錯し、水面下で牽制しあう。 この家に秘められた謎とは何なのか・・・ そんな時、事件は起きて・・・ 『麦の海に沈む果実』の続編。 『麦の~』の羊みたいにぷるぷるした理瀬が好きだったので あの終わりにはかなりショックを受けたものですが 時間が経ってなんとか許容できるようになってきました。 むしろ『黄昏~』はそんな理瀬だからこそ、と言える面白さ。 恩田作品は面白いんですが、オチが力技だったり、それは無いだろうと 思う作品もしばしばでしばらく読んでいなかったんですが やっぱりこのシリーズは良い。 『麦の~』は灰色の閉ざされた世界が印象的でしたが この作品はむせ返るような百合の香りのインパクトが強かった。 読んでる方まで息苦しくなりそうな空気。 そこで4人の男女が陰険な腹の探りあいをするんだからそりゃー陰鬱ですよ。 自分が「悪」だと自覚している理瀬ですが、 出し抜いているつもりでいっぱい食わされたり、 反対側にいる亘や雅雪を「自分とは違う」と線引きしつつも 境界線上でゆらゆらしていたりします。 なんかその、未熟さやアンバランス感がたまらなく魅力的。 背伸びしている少女をニヤニヤしながら読むのが楽しい。 舞台が長崎というのも大変良かった。 長崎、行きたくてしょうがないのに「グラバー邸」とか 「二十六聖人の碑」とかやたら魅力的に描かれるので 行きたい熱が余計に上がってしまいました。 そういや『puzzle』を読んだ後は軍艦島にトキメくようになり 『黒茶』を読んだ後は山登りたくてしょうがなくなった。 そういう風景や小道具の描写がとても上手だよなあ。 『黄昏~』と一緒に『まひるの月を追いかけて』も買ったんですが これを読んだら絶対奈良に行きたくなりそうで読む前からドキドキですよ。 恐怖の描写も良かった。 クローゼットを開けると下の階の話が聞こえる。 という伏線を張っておいて、叔母さんに部屋を貸したら 「クローゼットの扉が、ほんの一センチほど開いていた。」 この一行だけでぶわっと鳥肌立ちました。 いとこの亘は登場したときこそ、「まるでロミオとジュリエットだ」とか 2枚目ぶっていましたが、仲間外れにスネまくったあげく、最後に 憧れの理瀬を抱いて泣くという見事なヘタレっぷりで大層笑かしてくれました。 理瀬はヨハンの婚約者ですが稔とも過去に関係があったり、 雅雪となんとなくいい感じだったり、色々ビッチで驚きました。 まあ、魔女候補ですからね。このくらいは嗜み? しかし陰鬱な人間達の中だけに、ただ1人「正」側だった雅雪の 清冽さはやたら引き立って印象に残りました。 館の謎はともかく最後の最後でアレ、はちょっと衝撃だ。 叔母ちゃんの百合はちょっとなあ・・・
by gis-uk
| 2007-06-15 01:18
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