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2006年 06月 27日
『神様がくれた指』 佐藤多佳子
一年2ヶ月の「お勤め」を終えて出てきたその日に 利き腕を怪我したスリ、辻牧夫。 占い師の昼間に助けられ、しばらく共同生活をすることに。 辻は自分の怪我を負わせた相手を追い、 昼間は金策と占い仕事にせいを出す。 辻が目的に近づいたとき、昼間のお客さんにも変化が・・・ 佐藤多佳子さんといえば、以前『しゃべれどもしゃべれども』を読んで ハートウォーミングな話を書く人だと思ってたので この表紙からもあらすじからも想像のつかない サスペンスっぷりには驚きました。 電車に轢かれたり、バイクで転倒したり 発砲されたり、刺されたり・・・ もうめちゃくちゃハード。 その中心人物となっているのが 天才スリの「ハル」なんですが、こいつはこいつで カリスマ臭を漂わせてなんだか「山内練」を連想させました。 いかにも裏切りそうなのに仲間から絶大な信頼を得て 金でも体でも差し出させてしまう。 傷を負ってもハルを信じて待つ下っ端は 哀れな忠犬のようで見てて痛々しくなりました。 主人公はといえばスリ以外の何者にもなれない人間ながら それさえ抜かせば、料理上手で一本気ないい青年なんですよ。 しかも鈍。 幼馴染として一緒に暮らしてきた咲ちゃんに思いを 寄せられてる事を知って動揺します。 で、口をついたのはこのセリフ。 「なんで、俺なの?」 どれだけ無関心だったかがよく分かるセリフ。 でもそれ以後気になって気になって気になって・・・ 読んでるこっちが気恥ずかしくなるくらい、 彼女のことばかり考えるようになります。 咲ちゃんも咲ちゃんで、体が弱くて喘息持ちで小さい なんかもう鈴蘭の花みたく可憐な女の子な訳で。 いかにもほっとけない女の子なのに 内側にはものすごい熱いものを持ってることが分かるんですよ。 そのときの衝撃は辻ならずとも心を打たれます。 ラストが近くなってもちっとも終結しない 逃亡劇にハラハラしながら迎えた終焉は 仕方無いけど「そんなあ~」と言いたくなる。 そして全てが終わった1年2ヶ月後の エピローグが本当のラスト。 最後の1ページでこのタイトルを思い出します。 これは手で始まって手で終わる物語だったんだなあと。 予想だにしなかったスリルとサスペンスに 引っ張られて600ページがあっというまでした。 意外性なら最近でNo.1だ。 ハートウォーミング+ハードボイルドのバランスが妙で ミステリ読みにも是非読んで欲しい小説だと思いました。
by gis-uk
| 2006-06-27 23:59
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